2月24日、25日に第68期大阪王将杯王将戦・七番勝負の第4局が行われ、渡辺明棋王(34)が久保利明王将(43)に96手で勝ちました。渡辺棋王が第1局目からの4連勝で王将位を奪取しました。挑戦者の渡辺棋王が5年ぶり3期目のタイトル奪取となりました。
昨年(2018年)に8つあるタイトルを8人で分け合う時期がありましたが、その後、豊島将之八段が棋聖・王位のタイトルを獲得し、豊島将之二冠が誕生。そんな豊島二冠に続き、2人目の二冠・渡辺明二冠となりました。
1.甲冑姿での記念撮影(掛川城にて)
第68期王将戦・七番勝負の第1局が行われる掛川城をバックに恒例の甲冑姿でポーズをとる久保利明王将(前列右)と渡辺明棋王(前列左)。これから王将のタイトルをかけた七番勝負が始まります。2.七番勝負の日程・場所
第68期王将戦・七番勝負は日本の各地で行われますが、その場所と日程は次のとおりです。北海道・東北では対局がありませんが、南は沖縄まで足を運びます。局数 | 日程 | 場所 | 久保王将 | 渡辺棋王 |
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第1局 | 1月13日、14日 | 静岡県掛川市 「掛川城 二の丸茶室」 |
● | ○ |
第2局 | 1月26日、27日 | 大阪府高槻市 「山水館」 |
● | ○ |
第3局 | 2月6日、7日 | 栃木県大田原市 「ホテル花月」 |
● | ○ |
第4局 | 2月24日、25日 | 沖縄県那覇市 「琉球新報本社ビル」 |
● | ○ |
第5局 | 3月4日、5日 | 兵庫県尼崎市 「都ホテルニューアルカイック」 |
– | – |
第6局 | 3月20日、21日 | 佐賀県三養基郡上峰町 「大幸園」 |
– | – |
第7局 | 3月26日、27日 | 新潟県佐渡市 「佐渡グリーンホテルきらく」 |
– | – |
3.七番勝負の予定・結果
久保利明王将と渡辺明棋王が対局した七番勝負の結果です。第4局で渡辺明棋王が4勝目を上げ、王将位を奪取しました。豊島将之二冠に続き、渡辺明二冠の誕生です。対局者 | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 | 第6局 | 第7局 | 勝ち数 |
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久保利明王将 | ● | ● | ● | ● | – | – | – | 0勝 |
渡辺明棋王 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 4勝 |
【第1局】「掛川城 二の丸茶室」⇒渡辺棋王の勝利!
1月13日、14日に静岡県掛川市にある掛川城にて第68期王将戦・七番勝負の第1局が行われ、渡辺棋王が久保王将に115手で先勝しました。【渡辺棋王のコメント】
(93手目の)8三銀を打ったあたりで、読み抜けがなければ勝てると思った。(2日制で)時間の使い方は意識せず、難しいところで考えていたらスローペースになった。まだ始まったばかり。次も作戦を練って頑張りたい。
【久保王将のコメント】
どこで手を変えたら良かったか、すぐには分からない。ずっと分からない将棋で、最後はちょっと足りなかった。(第2局は)あらためてしっかり準備して臨みたい。
【第2局】「山水館」 ⇒渡辺棋王の勝利!
1月26日、27日に大阪府高槻市にある山水館にて第68期王将戦・七番勝負の第2局が行われ、渡辺棋王が久保王将に126手で勝ちました。【渡辺棋王のコメント】
最善形が分からないまま指していた。(封じ手の7八銀は)手が広いこともあって見えていなかった。そこで構想を練り直した。2枚飛車で攻める格好になり、良くなったと思った。(連勝で)また作戦を練り直してやりたい。
【久保王将のコメント】
駒組みが難しく、飛車や金の位置を考えるうちに時間を使ってしまった。(連敗は)普段から一戦一戦のつもり。しっかり準備したい。
【第3局】「ホテル花月」 ⇒渡辺棋王の勝利!
2月6日、7日に栃木県大田原市にあるホテル花月にて第68期王将戦・七番勝負の第3局が行われ、渡辺棋王が久保王将に107手で勝利しました。2日目の対局が始まった時に立会人が渡辺棋王が久保王将に封じ手を見せているところ。
【渡辺棋王のコメント】
(第1日に)仕掛けていく予定。やっていかないと面白くない将棋なので、攻めていってどうなるかと。93手目の5四桂で少し指せる展開になったと思う。次は2週間空くので、しっかり作戦を練りたい。
【久保王将のコメント】
(封じ手で銀交換に応じ)本譜(の進行)しか見えてなかった。もうちょっと手が広いかなと思ったが、意外にも指したい手が見つからなかった。どこかに疑問があった。それを精査して次局に臨みたい。
【第4局】「琉球新報本社ビル」 ⇒渡辺棋王の勝利!
2月24日、25日に沖縄県那覇市にある琉球新報本社ビルにて第68期王将戦・七番勝負の第4局が行われ、渡辺棋王が久保王将に96手で勝利しました。渡辺明二冠の誕生です!
4.久保王将の成績
2月4日時点の久保王将の成績です。今年度は勝率5割と少し調子を落としています。棋士番号 | 207 |
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生年月日 | 1975年8月27日(43歳) |
出身地 | 兵庫県加古川市 |
師匠 | 淡路仁茂九段 |
竜王戦 | 1組(1組:9期) |
順位戦 | A級(A級:12期) |
対局数 | 勝 | 負 | 勝率 | |
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2018年度 | 30戦 | 15勝 | 15敗 | 0.500 |
通算成績 | 1193戦 | 737勝 | 456敗 | 0.618 |
日付 | 段位 | 昇段理由 |
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1986年 | 6級 | |
1989年 | 初段 | |
1993年4月1日 | 四段 | 第12回奨励会三段リーグ準優勝 |
1995年4月1日 | 五段 | 順位戦C級1組昇級 |
1998年11月25日 | 六段 | 五段昇段後120勝 |
2001年4月1日 | 七段 | 順位戦B級1組昇級 |
2003年4月1日 | 八段 | 順位戦A級昇級 |
2010年3月30日 | 九段 | タイトル3期獲得 |
期数 | |
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棋王 | 3期(第34期-2008年度~36期) |
王将 | 4期(第59期-2009年度~60期・66~67期) |
回数 | |
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銀河戦 | 1回(第25期-2017年度) |
大和証券杯最強戦 | 1回(第4回-2010年度) |
NHK杯戦 | 1回(第53回-2003年度) |
将棋日本シリーズ JTプロ公式戦 | 2回(第33回-2012年度~34回) |
勝抜戦5勝以上 | 1回(第18回-1997~98年度) |
5.渡辺棋王の紹介
2月4日時点の渡辺棋王の経歴・成績をご紹介します。2月2日からは、第44期棋王戦のタイトル戦(防衛戦)を控えており、毎週のように対局があります。多忙な時期がしばらく続きます。棋士番号 | 235 |
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生年月日 | 1984年4月23日(34歳) |
出身地 | 東京都葛飾区 |
師匠 | 所司和晴七段 |
竜王戦 | 1組(1組以上:12期) |
順位戦 | B級1組(A級:8期) |
対局数 | 勝 | 負 | 勝率 | |
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2018年度 | 38戦 | 30勝 | 8敗 | 0.789 |
通算成績 | 919戦 | 605勝 | 314敗 | 0.658 |
日付 | 段位 | 昇段理由 |
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1994年 | 6級 | |
1997年 | 初段 | |
2000年4月1日 | 四段 | 第26回奨励会三段リーグ戦優勝 |
2003年4月1日 | 五段 | 順位戦C級1組昇級 |
2004年10月1日 | 六段 | 竜王挑戦 |
2005年10月1日 | 七段 | 竜王獲得 |
2005年11月17日 | 八段 | 竜王1期 |
2005年11月30日 | 九段 | 竜王2期、史上最年少九段 |
期数 | |
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竜王 | 11期(第17期-2004年度~25期・28~29期) 永世竜王(就位は原則引退後) |
王座 | 1期(第59期-2011年度) |
棋王 | 6期(第38期-2012年度~43期) 永世棋王(就位は原則引退後) |
王将 | 2期(第62期-2012年度・第63期) |
回数 | |
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朝日杯将棋オープン戦 | 1回(第6回-2012年度) |
銀河戦 | 4回(第13期-2005年・15・19・22期) |
大和証券杯ネット将棋・最強戦 | 1回(第2回-2008年度) |
NHK杯戦 | 1回(第62回-2012年度) |
将棋日本シリーズ JTプロ公式戦 | 2回(第35回-2014年度・39回) |
新人王戦 | 1回(第36回-2005年) |
6.さいごに
久保王将と渡辺棋王の棋士ランキング(2月4日時点)を見てみます。順位 | 棋士 | レート |
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2 | 渡辺明棋王 | 1902 |
10 | 久保利明王将 | 1789 |
※当ブログで参考にしている棋士ランキングサイトはこちら。
今年度に入り渡辺棋王は絶好調で、順位戦B級1組で10戦全勝しており、早くもA級への復帰を決めています。1月14日時点で12連勝中であり、このところ調子を見ると、渡辺棋王が有利なのではないかと思われます。どちらも悔いのない勝負をして欲しいです。