女流棋界の「最速最強」を争う女流AbemaTVトーナメントの決勝戦で、里見香奈女流四冠(26)と伊藤沙恵女流二段(25)が対局しました。この対局(三番勝負)が1月3日にAbemaTVで放送され、伊藤女流二段が優勝候補筆頭の里見女流四冠に2-1で勝利し、優勝を果たしました。これにより伊藤女流二段は2019年春に行われる予定の男性棋士によるAbemaTVトーナメント(持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算)への出場権を得ました。
第1回AbemaTVトーナメントは2018年6月から9月にかけて、予選・決勝トーナメントが放送されてきました。羽生善治竜王、久保利明王将ら実力者と藤井聡太七段をはじめとする選抜された若手棋士計14名が出場しましたが、トップ棋士たちとの熱い戦いを勝ち抜き優勝したのが藤井聡太七段でした。第2回AbemaTVトーナメントでは、藤井聡太七段に勝てる棋士が現れるのか、また、伊藤女流二段はどこまで勝ち上がることができるのか、が見どころです。
1.決勝戦で伊藤女流二段が勝利!
女流AbemaTVトーナメントの決勝戦で、フルセットの末、伊藤女流二段が里見女流四冠に勝利しました。対局直後に伊藤女流二段は「もうずっとドキドキして、本当に(対局が)終わるまで。ちょっと今もまだドキドキしてるんです」とコメントしています。持ち時間各7分、1手指すごとに7秒が加算される、チェスでも用いられるフィッシャールール。時間に追われる超早指し棋戦の緊張感が伝わってきます。2.対局の様子
第1局は伊藤女流二段の作戦が見事にはまり、解説を務めた橋本崇載八段が「意外な差がつきました。何も悪いところがない会心譜だったかと思います」と語るほどの完勝でした。第2局は一転して里見女流四冠のペース。今度は逆に完敗してしまいました。そして運命の第3局。伊藤女流二段が選んだのは、積極的な戦いでした。居玉(王様を動かさない)のままで果敢に動き、その指し手に迷いはなく、考える時にはしっかりと時間を使う。持ち時間が増減する今回のルールに一番適応したのが、伊藤女流二段でした。3.女流名人戦でも対局予定(1/20)
伊藤女流二段の今後の予定を見てみると、女流名人戦の挑戦者として、現女流名人である里見香奈女流四冠と対局予定です。女流名人戦は、まず「予選トーナメント」があり、それを勝ち抜くと、10名の女流棋士による「女流名人リーグ」が行われます。この「女流名人リーグ」で8勝1敗で勝ち抜いた伊藤女流二段が今回挑戦者となっています。この後、五番勝負で3勝すると女流名人になります。五番勝負の対局日・対局場所はこちらです。
局数 | 対局日 | 対局場 | 結果 |
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第1局 | 1月20日(日) | 「岡田美術館 開化亭」 神奈川県足柄下郡箱根町 |
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第2局 | 1月27日(日) | 「出雲文化伝承館 松籟亭」 島根県出雲市 |
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第3局 | 2月10日(日) | 「関根名人記念館」 千葉県野田市 |
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第4局 | 2月18日(月) | 「将棋会館」 東京都渋谷区 |
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第5局 | 2月24日(日) | 「湯原国際観光ホテル 菊之湯」 岡山県真庭市 |
里見香奈女流四冠が女流名人を防衛するか、それとも伊藤沙恵女流二段が女流名人を勝ち取るのか。どちらを応援しようか迷うところですが、2人とも全力を尽くして頑張って欲しいです。